お知らせ
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作成日:2019/09/25
【セミナーフォロー】 「遺産の一部分割」明文化へ



*セミナーでは、時間の関係上、扱うことのできないテーマにつき「セミナーフォロー」という形で記事アップさせていただきます。

 

 数ある「争族」対策の中でも、強力な武器の一つが「遺言書を書く」ことです。


 毎月、開催させていただいているセミナーでも既に紹介していますが、ある統計によれば、遺言書を遺している方は、全体の10%に満たない数字となっています。

 つまり、ほとんどの方が遺言書を遺されていません。その大切さを分かっていながらも、まだ現実的でない自らの死をみつめ、何か準備するということは確かに大変な作業なのかもしれません。また、実際に遺言を書く際の様々なハードルもあるかと思います。ですので、10%という数字も納得できる部分があります。

  
 遺言書がない場合は、相続人全員の協議により、遺産をどのように分けるかを話し合うことになります。いわゆる遺産分割協議です。

 (遺言があっても、一部の相続財産についての処分方法のみ指定されている場合や、相続人等全員が合意して遺言書と異なる分割方法を定める場合も遺産分割協議を行います。)

 

 このように、遺産分割の手続きには大きく分けて「遺言による遺産分割」と「協議による遺産分割」があるわけですが、協議による遺産分割は互いの主張がぶつかりあい「争族」に発展するケースも多くなります。

 

 本来、遺産分割は遺産「全部」を対象に行うことが原則です。

ただ、争族など様々な事情により「全部」の遺産分割を行う前に、先行する形で、争いのない遺産や分割が簡単な遺産のみ「一部」を分割することがあります。
 たとえば預金だけを「先に」遺産分割協議により相続人を決定、そのうえで後日、不動産等その他の遺産の分割を行うというのが「一部分割」です。

 
 争いのない遺産については先行して分割しておいたほうが有益な場合もあります。全部の
分割協議がまとまっていなくても、相続税の申告期限は必ずやってきますから、先に預金口座のみを分割し、納税資金を確保したい場合もあるでしょう。また、相続税申告上有利な小規模宅地等の特例を適用するために、ご自宅のみ先行して分割協議を行うといった場合もあるかと思います。

 

 これまでも実務上、こういった「一部分割」が認められていたのですが、明文の規定がなく、はたして「一部分割」が許されているか必ずしも明らかではありませんでした。

 そこで、今回の相続法改正により、一部分割とその要件が明文で規定されることになりました。

 

 ただし、分けやすい預金などを先に一部分割し、分けにくい不動産等の分割を後回しにすると、協議がいつまでもまとまらない可能性があることも知っておいた方がよいと思います。その際、うまくまとめるために、不動産の価格差等を預貯金で調整していくこともあるでしょう。そのため、預貯金全てを一部分割してしまうのではなく、ある程度は残しておくよう分割するなど、一部分割には、先の先を見通した対応も必要となります。

 

 今回の相続法改正により「一部分割」は明文化されました。

しかし、当然のことですが、速やかに遺産「全部」がスッキリ分割され、揉めることのない「あんしん相続」を目指すことが基本となります。
 
むしろ今回の改正は、「あんしん相続」を目指すための「良いきっかけ」ととらえてもいいのかもしれません。

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岡田誠彦 税理士・行政書士事務所
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