本日7月10日より、「自筆証書遺言」の保管制度がスタートします。昨年1月からスタートしている方式緩和(遺言書すべてを自筆で書く必要がなくなりました)とあわせ、自筆証書遺言の利便性は大きく高まったことになります。
自筆証書遺言は、これまでタンスや仏壇など自宅に保管されることが多かったため、内容を知った相続人が隠したり書き換えてしまうといった恐れがありました。また、せっかく書いた遺言を、そもそも相続人が見つけることができないという心配もありました。このような問題を解消するため、「法務局で自筆証書遺言を保管してくれる」制度がつくられました。この制度を利用した場合、これまで必須であった検認手続き(家庭裁判所において相続人等の立ち会いのもとで遺言書を開封し、内容を確認すること)も不要となります。
保管の申請は、本人が法務局に出向いて行う必要があります(そのため、入院などで外出できない場合は、公証人が出張により作成することができる公正証書遺言を利用することになるでしょう)。
なお提出時に書式の不備をチェックしてくれるため、形式面で無効になることはなくなります。ただし、内容のチェックまでは行われません(そのため内容に関する専門家のアドバイスを受けた方がベターです)。
また、遺言者の死後、相続人は法務局に遺言書の写し(遺言書情報証明書)を請求することができます。一人の相続人が請求すると、他の相続人等にも遺言書を保管していることが通知されるため、公平な相続の観点からも、この制度はかなり有用だと思います。
今後も「公正証書遺言」が有力で安心な遺言であることは変わりませんが、今日からスタートする保管制度の利用により「自筆証書遺言」も有力な選択肢の一つになっていくと思われます。
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